「山道具考」無積雪期 ガイドが登山装備について語る

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登山靴

山道具考 無積雪期

予算が10万円だったら、ザック2万円、登山靴+インソールで4万円、レインウェア3万円が目安。あとは中学時代の運動着を引っ張り出し、野球帽をかぶり、ペットボトルに水を入れ、おにぎり握って…さぁお山へ行きましょう♪ 最初は家にあるもので良いんです。だんだん山行を重ねて行くうち必要なものが出てくると同時に不必要なものもわかってきます。ザック、登山靴、レインウェアーの3点は妥協せずじっくりと選んでください。

バックパック ドライバック 登山靴 インソール ソックス レインウェア コンパクトダウン シャツ 帽子 手袋 サングラス ヘッドライト 時計 地図 GPS 行動食 水筒 レスキューシート テーピングテープ トレッキングポール ザックカバー サポートタイツ スパッツ

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バックパック

バックパック

容量は日帰りで20〜25リットル、山小屋3泊程度で25〜30リットルが目安。山行日数の割に大きめのザックを選んでしまうとあれもこれもと余分な荷物を入れがち。心持ち小さめのザックを選択し必要度の高いと思われる荷物から入れていくと収まりきらないものが出てくるが、それは今回の山行には必要ないものと判断しキッパリ諦め置いていく。背面サイズは固定式と可動調整式があり、また同じモデルでも男女別のデザインになっているものもあるので、実際にショップで背負って確認してみる。ポイントは腰ベルトがきっちり骨盤の周りで締めることが出来るか? 肩だけではなく腰にしっかりと重みを感じられるか? をチェックする。デザインはズドンと筒状のものが荷物の出し入れがし易く収まりもよい。開口部がファスナーのものは、乱雑に開閉したり凍結してしまったりすると破損する恐れがあるので雨蓋式の方が安心。テープやバックル類は岩角や枝に引っ掛かりやすく、またサイドポケットは水筒など収容したとき不意に落下し他人に当たる危険があるので、不要なアクセサリー類の無いシンプルなものを選びたい。


ドライバック

ドライバック

ほとんどのザックには防水性が無いので中に防水バックを入れてその中に荷物を入れる。ビニールのゴミ袋でも代用は効くが強度に乏しいので二枚重ねにする。


登山靴

登山靴

初心者ほどクルブシがすっぽり隠れるハイカットのブーツがおススメ。重荷を背負い足場が悪い山道では、足首がほどほどに固定され安定感があり捻挫予防にもなる。アッパーは皮でも化繊のキャンバスでもよいが、必ずゴアテックスなどの防水透湿加工がされているものを選ぶ。登山靴のキモとなるところはソール。製造年月日が新しく新鮮で柔らかいソールは、溝に泥が詰まっても抜けやすいし岩に食いつきスリップしにくい。また着地時のショック吸収にも優れている。ショップで長年在庫してあった特価品やアウトレット品は、ゴムの硬化が始まりかけているので購入を避けたほう良い。試し履きでは当たるところも無く問題なかったのに、数回の山行で靴擦れやマメが出来てしまった場合は、早く馴染ませるためにひと作業が必要。踵を密着させつま先に少しの空間が出来たうえで、下から最上部のフックまで靴紐をキッチリ締め上げ靴の中で足が遊ばないようにする。普段の買い物やお散歩など日常頻繁に履いて出歩き、靴擦れやマメの痛みが出たら市販の靴パットやカットバンでケアする。ガチガチだった生地が足の熱と汗と少しの辛抱で自分の足型に変形しフィット感が増し、同時に重さも感じなくなってくる。足に馴染んだ登山靴はもう放しがたく、擦り減った靴底の交換を繰り返しながら山歩きを続けていくうちに頼もしい相棒となる。


インソール

インソール

登山靴の中敷を抜き取り市販の高機能インソールに交換したい。腰と膝と足首を正しい位置で支持し効率のよい筋肉の働きを補助したり、土踏まずのアーチを保ち衝撃を吸収し疲労を軽減したりする。


ソックス

ソックス

冬季を除き通常は中厚ほどの厚さ一枚履きでOK。二枚履きにすると靴下にシワがよりやすく靴擦れの原因になる。


レインウェア

レインウェア

降雨時はもちろん晴天確立100パーセントでも必ず持参する。強風時はウィンドブレーカー代わりの防寒着として着用したり、負傷等で歩行不能に陥った場合に体温低下を防ぐため保温着代わりとして着用し救助を待つ。ビニールカッパや釣り等で使うゴム引きカッパは完全防水ではあるが、行動中に掻いた汗が外部に放出されることなく結露し衣類を濡らしてしまうので運動量の多い登山では使えない。完全防水でなおかつ汗を放出してくれる透湿性のあるレインウェアーが必要。メーカー各社色々な素材を提供しているが、今のところゴアテックス社のメンブレンを使用し「GORE-TEX」タグが付けられている製品が抜きんでて信頼性が高い。ただし蒸れが少ないとはいえ、雪山登山でも使えるような丈夫で分厚いタイプを真夏に着るのは少々暑い。極力薄くて軽い生地なら透湿性も増しザックに入れていても負担にならない。


コンパクトダウン

コンパクトダウン

行動中は暑すぎるので出番はないが、休憩時には掻いた汗で身体が冷えるためでサッと出して着用する。標高の高い場所にある山小屋は真夏でも朝晩は冷えるので持参したい。スタッフバックに入れるとペットボトルほどに小さくなるコンパクトダウンが良い。中綿の羽毛は濡れると乾きにくくまた嵩が減り保温力が落ちるので、レインウェアの内側や屋内での着用が原則。最近は撥水加工の施されている羽毛や側生地を使ったモデルも出ている。化繊の綿を使ったもは羽毛に比べ重量はあるが、濡れても保温力があまり落ちないので屋外でも気兼ねなく着用できる。


シャツ

シャツ

下着も含めすべて吸湿速乾性の化繊製品を着用する。綿は吸湿性には優れているものの乾きが遅く体温低下を招きやすく、悪天候時には致命的な危機に陥る。薄いものを重ね着しこまめな脱ぎ着によって体温調整をする。吸湿速乾生地の製品なら汗や雨で濡れたとしても体温での着干しが可能なうえ、防臭加工も施されているので数日間着たきりでも問題なし。最近増えているメリノウール製品は天然繊維由来の体温調整機能や防臭機能に優れているうえ、チクチクしないなど着心地も良いのでおススメ。

帽子

帽子

グルッと全周につばが付いるものが首筋の日差しを遮ることが出来る。強風時には飛ばされないよう小さく畳んでサッとポケットに収納できるコンパクトなものが良い。


手袋

手袋

夏でも寒い時には防風保温性のあるフリース製、暑い時には通気性が良い薄手のものと使い分ける。掌部分に滑り止め加工が成されたもので、指先にフィットしたサイズを選ぶと細かい作業がしやすい。最近では着用したままスマホを使用できるものもある。軍手は丈夫だが通気性が良すぎて保温力に乏しく、濡れると乾きにくいのでおススメできない。岩場では石の固定状態を確認し確実なグリップを得るため素手でのホールドが原則。


サングラス

サングラス

標高が1000m上がると紫外線量が1割増す。晴れている時はもちろん曇りや樹林帯でも一様に降り注ぐので、山行中は紫外線カットのメガネを着用したい。積雪期の好天時に裸眼で一日中歩き回っていると、夕方には目が痛くなり開けていられなくなり俗に言う雪目になる。無積雪期でも充血したり霞んだりと障害が起き、将来的に白内障の危険をもはらんでくるので油断は出来ない。スポーツショップで扱うサングラスは、顔面にそって弧を描いた形状をしているため隙間からの光の入射を極力減らし激しい動作でもずれることが無い。ガラスレンズは転倒時に破損の恐れがあり、また重量もあるので必ずプラスチックレンズを選択する。茶系のレンズカラーなら山中での視認性が良い。


ヘッドライト

ヘッドライト

行動時間が予定外に伸びて日が暮れてしまい灯りがなければその場で行動不能となる。その焦りからルートを間違えたり転倒や滑落の危険性が生まれる。今はLED電球を使用したコンパクトな製品がほとんどなので常に持参したい。ギュウギュウなザックの中で不意に点灯したり破損を避けるためハードケースの使用をすすめる。


時計

時計

時間が判り日常生活防水であればどんなものでも良いが、高度計、温度計、コンパス、ストップウォッチ、GPS、など登山に特化した時計が増えている。ただ多機能がゆえに使用方法が難解な機種も多いので山行前にマスターしておく。


地図

地図

最初は現地のタイムリーな情報が記されている50000/1登山ガイド地図から入る。国土地理院発行25000/1地形図を使いこなすには読図の勉強が必要なので、機会を見つけ講習会に参加するのがよい。地形図やコンパスを駆使して行なわれるオリエンテーリングはハマると面白い。スマホに地図をインストールし山行に使用するアプリもあるが、電池の消耗が早くなるので注意が必要。


GPS

GPS

人工衛星から電波を受信し緯度経度を把握する。今では地形図を内蔵し誤差5m以内の正確さで、地図上に現在地を示し行き先を指示し軌跡を残したりと大変頼もしい。特に見晴らしの利かない藪山や霧に巻かれた時の雪山を徘徊するには無くてはならないモノになりつつある。ただ精密電子機器のため故障する可能性もあるので、バックアップとしてアナログな紙地図とコンパスは必ず携帯する。


行動食

行動食

体を動かす為のエネルギー補給する食べ物は、高カロリー高タンパクで即吸収されるものを選び適量持参する。例えばナッツ類を自分の好みでミックスナッツとしジップロックに入れ休憩時にポリポリするとか。ビタミンやミネラル豊富なレーズンなどのドライフルーツは長期山行で嬉しい。バテて元気が無く食欲も湧かない時はゼリー状のチューブフードで即効元気復活! 菓子類は包装箱から出し小袋を外した方が、面倒無く素早く食べられるし軽量化にも繋がる。休憩のたび常に何かを口に運んでいる人は、いつまでもどこまでも元気に歩き続けることが出来るでしょう。


水筒

水筒

行動中は発汗により身体機能が低下するのを防ぐ為こまめな水分補給が重要であり、喉が渇いた時点で軽い脱水症状と認識する。真水だけでは体液の電解質バランスが崩れ痙攣などの障害が起きるのでスポーツドリンクと併用する。頻繁にザックを降ろし給水するのも煩わしいので、水筒本体はザックの中に入れ外にチューブを出し移動中でも吸飲できるハイドレーションシステムが便利。


レスキューシート

レスキューシート

タバコケースほどに小さく畳まれシンプルでペラペラのシートだが、毛布一枚分の大きさと保温力を持ち、緊急時に包まって使用する。これ一枚の有無で生死を分かつ事例がたくさん報告されている。嵩張る物ではないので一人一個所持したい。


テーピングテープ

テーピングテープ

捻挫をした時の固定や膝痛軽減のテーピングなど本来はファーストエイドで使用するが、耐水性があり粘着力も強く丈夫ということで、ザックが破けたり登山靴が破損した時の補修などに重宝する。


トレッキングポール

トレッキングポール

テント泊など重荷を長時間背負う山行では、下半身だけではなく上半身にも重さを分散する。トレールランニングではリズム良く突くことで足場の悪いところでもスピーディーに移動できる。それらがトレッキングポールを使用する本来の理由であり、ゆえに荷物が少ない日帰りや山小屋泊での登山には不要と考える。悪路でバランスを崩しても素早く反応し対処する反射神経や、体内最強の筋肉!大腿四頭筋をフル活用し斜面をパワフルに登る機能を誰もが備えているハズですが、皆さんはそれらを存分に発揮し安定感のある力強い歩きをしていますか? トレッキングポールの過度依存のため、どんどん強化できる機能を実は退化させてしまっているのです。正しい登り下りをマスターしたうえでコンスタントに山歩きを続けていけば、下半身の筋力アップを図られ骨のぐらつきが抑えられ腰痛や膝痛の予防に繋がります。足場の悪い下りで体重を預けた瞬間にポールの先端が滑って外れたり、シャフトの固定が緩み長さが縮んだり、曲がり折れ破損したりとトレッキングポール使用時の転倒事故は極めて多い。持っていれば何となく安心=安全とはならない。これから登山を始めようとしている方、昔に比べ筋力やバランス感覚が落ちたなぁと感じている方、まずは正しく力強い歩き方をマスターしてからの使用を検討しても遅くはありません。


ザックカバー

ザックカバー

ザックカバーは濡れや汚れ防止になるが実は背中側から漏水する。ザックへの固定が簡素だと強風で飛ばされやすい、荷物の出し入れが面倒など不便な点も多い。長年カバーを使用せず山歩きを共にし存分に使い込まれたザックの汚れやシミは、そのまま自分の山行歴と重なり思い出を語ってくれる。


サポートタイツ

サポートタイツ

2種類あり、ひとつは関節をしっかり固定しぐらつきを押さえ運動中に起こりうる障害を予防するもので、単体のサポーターとほぼ同じ原理。もうひとつは、下半身全体に圧力を掛け筋肉の収縮を補助し血液のスムーズな循環を促し疲労物資を排除するもので、コンプレッションタイプと呼ばれている。いずれも筋肉がしっかり出来上がっている人には絶大な効果が期待できるが、逆に筋力の弱い人にはタイツの圧力が強すぎて血行が悪くなり痙攣などの原因になっている。長い間着用してイマイチ効果が感じられなければ、一度脱いでスッキリ軽くなったうえでトレーニングを行い、後に筋力アップが図られた時点で再度使用してはいかがでしょうか?


スパッツ

スパッツ

雪山登山においては保温力UPや靴内に雪が入るのを防ぐため必要だが、春から秋にかけての無積雪期に装着すると発汗により靴内が蒸れ靴擦れの原因となる。重荷を背負い凹凸のある道をバランスよく歩くためには、両足を腰幅ほどに開き二本のレール上を歩くイメージ。するとパンツの裾を擦らないため、汚れ防止のためのスパッツ装着なら不要となる。

writing by RYOJI HOSHINO

© 2013 bistari